(1)ホットラインの趣旨と目的 2010年10月
国民の信頼を失った食の安全を取り戻すためには、食の安全を確保する枠組みを再構築することが喫緊の課題です。WTOと米国いいなりの政策を見直し、国民に顔を向けた安全行政を実現すると共に、企業倫理を健全に働かせるための有効な手立ての一つが、食の安全情報を消費者が手にすることです。
「食の安全・市民ホットライン」は、国土交通省の「自動車不具合情報ホットライン」にならった食品バージョンです。食品偽装、表示違反、安全でない食品、食品が原因となる体調不良などの食の安全を危うくするあらゆる不具合情報を、消費者や市民団体から提供してもらいます。集めた情報は、消費者の手で一元的に管理し、より質の高い情報としてインターネット上で公開します。「ホットライン」によって、食品による事故を未然に防いだり、原因を解明することができる可能性が生れるなど、食の供給を健全化できる展望が開けます。
情報を一元化する効果 全国で散発する食べ物の不具合発生では、個々の発生情報が孤立しており、原因が究明しにくい面があります。 中国産の農薬が混入されたギョウザ事件では、事故が起こる半年も前から、先ぶれとなる事例があったのですが、情報が孤立していたために対処することができませんでした。 しかし、「ホットライン」に消費者が情報を寄せるとどうなるでしょうか? 不具合を起こした食材や食品が同じであったり、食材を供給した事業者、レストランチェーンが同じであった・・などに気付くきっかけとなります。 他にも、同じチェーン店が供給した生肉による食中毒事件、O157 による食中毒事件などのケースでは、「ホットライン」が機能しておれば、大事にいたる前に対処できた可能性もあるのです。 |
そればかりではありません。「ホットライン」は、消費者パワーを結集する求心力を秘めており、これまでない消費者・市民運動の有力な手立てともなります。
(2)ホットラインの特徴
1)情報の収集
不具合情報は、消費者の皆さんが直接に、インターネット上のホームページから入力します。電話やファックスも受け付けます。
行政がすでに発表した情報や、専門家の警告情報も集めます。
2)不具合情報とは、
腐敗・変質したり異臭のある食材
購入した食品や、外食や持ち帰りの食べ物による、
嘔吐、発熱、下痢など体調不良や健康被害
偽装された食品
表示の違反や偽装
誇大・違法な広告や販売の方法
食品だけでなく
調理器具・容器や、乳幼児が口にするおもちゃなども対象
(内部告発も受付け、弁護士も加わり、問題解決にあたります)
3)公表
消費者から寄せられた情報は、たとえ些細なものでも、ホットラインのホームページに掲載し公表します。
情報の確かさを確認しつつ、商品名や企業名、食したり購入した店名などの実名称は記号化して公表します。
4)問題解決への対処
不具合情報の内容が、同じ食品であったり同じ事業者であるなど、情報が重なる場合には、事業者だけでなく行政にも、警告したり、問題解決を働きかけます。
(3)消費者庁の事故情報とどこが違うのか?
消費者庁は「事故情報データバンク」を立ち上げました(2010年)。しかし、「データバンク」では、収集される情報が事故情報に限られること、食材名や事業者名も公表されないケースがほとんどであり、情報開示が不十分であるなど、肝心の消費者の役に立っていません。しかも、常勤とは言えないスタッフ15名程度で、すべての分野を運営しているため、食の分野の満足な運営が期待できません。
提案する「ホットライン」では、費用もかかりませんし、協力者は無限大です。また、消費者の手で集めた情報は、自由に利用できるなど、「データバンク」とは本質的な違いがあります。
表 消費者庁「事故情報データバンク」との違い
ホットライン | 比較項目 | データバンク |
些細な情報も | 情報 |
事故情報 |
可能 | 消費者による直接入力 |
不可能 |
食安全に特化 | 情報範囲 |
網羅的 |
掲載 | 警告情報 | なし |
記号化 | 企業・食品名 | 未公開 |
利用できず | 行政データベース | 利用 |
高い | 透明性 | 低い |
参加団体に公開 | 元データ | 非公開 |
不可能 | 検索 | 一部で可能 |
∞ | スタッフ | 約15人(期限付職員) |
数値は2010年当時
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